臨床での観察による歩行分析
観察による歩行分析は、関節の角度などを厳密に機械で測定する歩行分析とは違い、わずかな違い(わずかな関節の屈曲角度の変化や、歩幅の変化)を見分けることはできません。
ですが、訓練された術者によって、正常歩行からの逸脱を的確に見抜くことで場所を選ばず、特殊な機器がなくても歩行の評価ができるという利点があります。
すなわち、観察に必要なコストを抑えることで、複数回のこまめな評価を行っても患者の経済的負担が大きくならないことが特徴といえます。
厳密な測定ができないため、逆に微妙な変化であっても、気づけることはすべて観察することが大切になります。些細な変化が大きな疾患の徴候になっている可能性もあるためです。
また、観察による歩行分析を行う際には、必要に応じて徒手筋力検査(MMT)や関節可動域試、疼痛の評価を行うことで病態の理解に一層役立ちます。
観察による歩行分析では、まず観察を通して逸脱歩行を発見し、問題点を洗い出し、そこから可能性のある疾患を鑑別していきます。
さらに、治療が行われた場合では治療による成果の確認を行います。このとき、こまめに治療成果を評価することができ、観察による歩行分析の長所が活かされるといえます。
観察のポイント
観察による歩行分析は術者のノウハウ、技量による部分が多くあり、画一的なマニュアルを作成することには限度があるといえます。
そこで、以下では観察そのものというよりも、観察による歩行分析をひとつの診療システムとして見た場合に重視すべきポイントを述べています。
まず、患者側に事前に取り組んでもらうものがあります。筋・骨格の動きが分かりやすい服装をしてもらいます。
この分析の重要性を認識をしてもらうことで、普段通り歩こうという心構えとなり診断にも役立ちます。また、分析前に予めある程度の距離を歩いておいてもらうと、より病的部位が明らかになる場合も多いです。
実際の分析に入ると、立ち上がりから歩行、座り動作まで、全過程をつぶさに見なければなりません。
このとき、あらゆる角度から観察するのを忘れないようにします。見るべき点として、主なものに歩行速度、安定性、運動のなめらかさ・継続性、歩幅、歩隔、上肢の振り・動き、重心の位置などがあります。
場所としては、いつも病院内で行うのではなく、場合によっては喫茶店など患者がリラックスできる場所で行うこともあります。これは、不必要に緊張して自然な普段通りの歩行が妨げれるのを防ぐためです。
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